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2025.09.10

睡眠障害は何科に行くべき?種類ごとの症状も解説

睡眠障害は何科に行くべき?種類ごとの症状も解説

眠れない、眠りが浅い、日中強い眠気が続くなどの睡眠トラブルには、さまざまな原因が考えられます。

どの診療科を受診すればよいのか迷うことも多いかもしれませんが、睡眠障害の場合、症状のタイプや背景によって適切な科が異なります。診療科を選択する際の注目ポイントや受診の重要性などを知っておくと、睡眠障害の治療につなげやすくなるでしょう。

この記事では、睡眠障害が疑われるときに検討すべき診療科と受診時の注意点、セルフケア、睡眠障害の主な症状・影響、代表的な種類と特徴について詳しく紹介します。睡眠障害で受診する科に悩んでいる人や、普段から取り入れやすいセルフケアなどを知りたい人はぜひ参考にしてください。

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睡眠障害は何科で受診するべきか

睡眠障害は何科で受診するべきか

睡眠に関する悩みを感じる場合、その原因は心身の健康状態や病気など、幅広い原因が考えられ、どの診療科を受診すればよいかは症状や疑われる要因によって変わります。

ここでは、「睡眠障害かな」と感じた時に何科へ行くべきか紹介します。

まずは内科や総合診療科での相談

睡眠障害を感じた時、特別な持病や精神的な疾患がなければ、まずはかかりつけの内科や総合診療科で相談しましょう。

内科や総合診療科では身体の不調全般を幅広く診察し、糖尿病や甲状腺機能異常などの内分泌疾患、感染症、呼吸器疾患、高血圧症など、全身の病気による睡眠の不調をチェックできます。

特に、以下のような症状があれば内科や総合診療科がよいでしょう。

  • 最近急に眠れなくなった
  • 体重減少
  • 発熱
  • 咳、息切れ など

このような身体症状を伴う場合は、内科的な病気の可能性があるため、詳細な診察や検査が必要です。

精神科・心療内科での診療

不眠や早朝覚醒、中途覚醒はうつ病の代表的な症状のため、心の状態が大きく睡眠の質やリズムに影響します。

以下のような状態に心当たりがあれば、精神科や心療内科を受診しましょう。

  • ストレス
  • 気分の落ち込み
  • 不安感
  • やる気の低下 など

また、過去にうつ病や不安障害などの精神疾患の診断歴がある人は、精神科や心療内科が適していることが多いです。

強い緊張やトラウマ体験など、ストレス関連障害による不眠や過眠の可能性も考えられるため、心の健康をサポートする診療科を選びましょう。

耳鼻咽喉科や呼吸器内科での検査も視野に

睡眠時無呼吸は高血圧や糖尿病、脳血管障害などのリスク因子にもなり、適切な診断と治療が必要です。

以下のような症状が自覚できたり、家族から指摘されたりした人は、耳鼻咽喉科や呼吸器内科の受診を検討しましょう。

  • 大きないびき
  • 寝ている間に呼吸が止まる
  • 朝起きても頭痛やだるさが取れない
  • 日中強い眠気が続く

このような症状は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

耳鼻咽喉科では、上気道(鼻や咽喉)の構造的異常やポリープ、アレルギー性鼻炎などについて調べ、必要に応じて呼吸器内科や睡眠外来と連携して治療計画を進めます。また、鼻炎や副鼻腔炎による慢性的な鼻づまりが眠りの質を落としている場合も、まずは耳鼻咽喉科で相談するとよいでしょう。

専門医療機関を選ぶポイント

睡眠障害は前述の通り、内科や精神科、耳鼻咽喉科など複数の科で対応できる症状です。しかし、症状が複雑な場合や、通常の治療で改善しない場合は睡眠障害専門外来や睡眠医療認定医が在籍する施設の受診を検討してください。

睡眠外来や睡眠センターでは、医師や臨床検査技師、臨床心理士などの専門家がチームを組み、精密な診断や睡眠障害に特化した治療計画を提案しています。診断と治療を一貫して受けられる体制が整っており、より正確な診断と根本的な治療が可能です。

特に長期間症状が改善しない場合や、複数の病気が背景にある場合には、専門外来を受診しましょう。

受診時に気をつけたいことやセルフケア

受診時に気をつけたいことやセルフケア

医療機関を受診する前後には、症状や生活習慣の記録、睡眠環境の整備、適切なストレスケアなど、セルフケアが診断や治療の精度の向上に役立つことがあります。

ここでは、受診前後に取り入れやすいことや、セルフケアの重要性などについて紹介します。

受診前に症状をメモしておく

受診時に医師へ睡眠状態の情報を伝えることは、適切な診断に重要です。

例えば、以下のような情報をメモしておくと役立つでしょう。

  • 寝つくまでの時間
  • 夜中の覚醒回数
  • 起床時の気分や疲労感
  • 昼間の眠気や集中力の程度
  • 日中のうたた寝や居眠りの有無 など

このような情報を1~2週間分記録すると医師が状態を把握しやすくなります。

服用中の薬やサプリメント、喫煙やカフェイン・アルコール摂取の有無、生活リズムの変化なども記載しておくと、医師が病因を特定しやすくなるため、書ける範囲で書くのもおすすめです。

また、発症時期や症状の推移、ストレスや生活の変化と関連していないかも振り返り、整理しておくとより詳しい情報を伝えやすくなります。

睡眠環境を整える

睡眠の質を高めるためには、就寝前後の環境づくりも重要です。

寝室は静かで暗く、適度な温度・湿度を保ちましょう。また、寝具や枕が体に合っているか、騒音や強い光が入り込んでいないかも確認してください。就寝前はスマートフォンやパソコン、テレビなどの強い光を避け、間接照明でリラックスするとなおよいです。

寝る1時間前に入浴し体温を一度上げ、湯上りに体温が下がっていくうちに眠気が誘われるため、入浴時間のコントロールもおすすめです。

ストレスケアとリラックス法の実践

日々のストレスや緊張が強い人は、意識的にリラックスする時間を設けましょう。

例えば、以下のようなことをできる範囲で実践すると効果が期待できます。

  • 深呼吸
  • ストレッチ
  • 軽い運動
  • 瞑想
  • 好きな音楽を聴く
  • アロマテラピーを利用する など

人によって効果を感じる方法は異なるため、自分に合ったリラックス法を見つけてください。また、就寝前は考え事や悩みをノートに書き出して頭を空っぽにし、不安を翌日に持ち越さない工夫もおすすめです。

心身の緊張状態を客観的に把握し、リラックスの習慣を生活の中に組み込んでみましょう。

完璧を目指さなくてもいい

理想的な睡眠時間や眠りの深さを追求しすぎると、逆に不安が高まり眠れなくなることもあります。平均的な睡眠時間には個人差があり、「〇時間寝なければならない」というルールはなく、焦ったりストレスを感じたりする必要はありません。

大切なのは、翌日しっかり活動できるかどうか、日中の眠気や疲労感、集中力の維持です。少しずつ生活習慣を整えながら、あまり完璧主義になりすぎないことも大切です。

また、診察を受ける前日あたりには余計に緊張するかもしれませんが、「悩みを専門家に相談できる」と考えて、ストレス源ではなく希望のひとつとして受け止めましょう。

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睡眠障害とは?主な症状と影響

睡眠障害とは?主な症状と影響

睡眠障害は「眠りたいのに眠れない」「日中に強い眠気が出てしまう」など、睡眠に関わる問題全般を指します。

ここでは、睡眠障害の主な症状と影響について紹介します。

睡眠障害の基本的な症状とは

睡眠障害の症状は多岐にわたり、中でも多いのが不眠症状です。

不眠症状には以下のようなタイプがあります。

  • 入眠困難(寝つきが悪い)
  • 中途覚醒(夜中に何度も目が覚める)
  • 早朝覚醒(予定より早く目覚めてしまい眠れない)
  • 熟眠障害(ぐっすり眠れた気がしない) など

逆に、十分に寝ているはずなのに日中に耐えがたい眠気に襲われる過眠症状もあり、仕事や生活に支障をきたす例も見られます。

また、「寝ぼけて歩き回る」「暴れる」「叫ぶ」など、睡眠時に異常な言動や行動が現れる場合もあり、本人も家族も悩みやすい症状です。

睡眠不足が引き起こす日中の不調

睡眠障害が続くと、日中の活動に深刻な支障をきたしかねません。

以下のような状態が代表的です。

  • 強い眠気
  • 集中力、注意力の低下
  • 記憶力の低下
  • イライラや気分の落ち込み
  • 意欲や作業効率の低下 など

慢性的な睡眠不足は、肥満や高血圧、糖尿病、心血管疾患のリスクを高めることも報告されています。また、脳の情報整理や感情コントロール機能が低下しやすくなり、うつ病や不安障害などのメンタルヘルス悪化も懸念される状態です。

交通事故や労働災害の原因になる恐れもあるため、自覚症状があれば早めに治療を開始したほうがよいでしょう。

生活習慣やストレスとの関わり

日頃あまり意識していない生活習慣が睡眠障害の原因になることも多いです。

例えば、以下のような生活習慣は睡眠障害の引き金になります。

  • 夜遅くまでのスマホやパソコンの使用
  • シフト勤務や夜勤
  • 旅行や出張などによる時差
  • 過剰な飲酒やカフェイン摂取
  • 運動不足 など

また、家庭や職場のストレス、対人関係の悩み、将来への不安なども自律神経のバランスを崩し、入眠や睡眠維持を妨げます。

放置しないほうがよい理由

睡眠障害を長期間放置すると、本人だけではなく家族や周囲にも心配をかけてしまうことになります。

慢性的な不眠や日中の眠気は、仕事や学業の効率を落とし、人間関係のトラブルや孤立など社会生活に問題が生じる場合があります。さらに、うつ病や不安障害の発症・悪化、生活習慣病や心血管疾患のリスク増加、免疫機能の低下による感染症の増加など、全身の健康に深刻な影響を及ぼしかねません。

自分や家族を守るためにも、睡眠の悩みを自己判断で軽視せず、早めに医療機関に相談し、必要な治療や支援を受けてください。

睡眠障害の種類と特徴

睡眠障害の種類と特徴

不眠症、過眠症など比較的有名なものをはじめ、睡眠障害には複数の種類があります。

ここでは、睡眠障害の中でも代表的な種類を紹介します。

不眠症

もっとも多い睡眠障害で、寝つきが悪い、途中で何度も目が覚める、早朝に起きてしまう、熟睡感がないといった症状が1か月以上続きます。

日本人では成人の約30~40%が一度は不眠症状を経験するといわれており、慢性化しやすいのが特徴です。

日中にも疲労や集中力低下、意欲減退などの支障が出やすくなります。

うつ病や不安障害との関連も強いとされています。

過眠症

十分に睡眠時間を確保しているにも関わらず、日中に強い眠気や居眠り、思考力や判断力の低下がみられる状態です。

代表例が「ナルコレプシー」で、強烈な睡眠発作や感情の高ぶりで力が抜けるような症状が生じるほか、金縛りや入眠時の幻覚などを伴うこともあります。

ほかにも「特発性過眠症」や「周期性睡眠症候群」などがあり、仕事や学業に深刻な支障を及ぼすことが少なくありません。

概日リズム睡眠障害

体内時計のずれや乱れによって、望ましい時間帯に眠れず社会生活に支障が出る障害です。

「睡眠相後退症候群」は夜型化が強くなり、深夜まで眠れず朝起きられないため登校・出勤困難になりやすいです。逆に「睡眠相前進症候群」は夕方早くに眠くなり、早朝に目が覚めるのが特徴です。

「時差症候群」はいわゆる時差ボケで、シフトワークによる「交替勤務型睡眠障害」なども該当します。

睡眠時随伴症

睡眠時随伴症は、睡眠中に生じる異常な運動や行動、体験の総称です。

子どもに多い「夜驚症」や「夢遊病」、大人では「レム睡眠行動障害」や夜間の激しい歯ぎしり、寝言、睡眠時の「発作性異常行動」などがあります。

レム睡眠行動障害はパーキンソン病やレビー小体型認知症に関係することがあり、寝ている間に暴力的な行動をし、本人や同居者が怪我を負うケースも見られます。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に何度も呼吸が止まったり、呼吸が浅くなったりする病気です。

例えば、いびきが大きい、起床時の頭痛やだるさ、日中の強い眠気が続く場合は睡眠時無呼吸症候群が疑われます。無呼吸状態が長く続くと血液中の酸素濃度が低下し、心臓や脳への負担が増し、高血圧や不整脈、脳卒中、糖尿病など命に関わる病気のリスクが高まりかねません。

原因としては肥満や顎の骨格、扁桃肥大、鼻の病気などがあるため、耳鼻咽喉科や呼吸器内科、睡眠外来での精密検査が推奨されます。

まとめ

睡眠障害は日常的な悩みと思われることも多いですが、背景にはさまざまな心身の病気や社会的ストレスが潜んでいます。

どの診療科を受診するべきか迷ったら、身体症状がある場合はまず内科や総合診療科で身体疾患の有無を確認しましょう。心の不調や強いストレスがある場合は精神科・心療内科、いびきや呼吸異常があれば耳鼻咽喉科や呼吸器内科への受診を検討してください。

医療機関の受診とともに、セルフケアや生活環境の見直し、ストレス対策も重要です。

メンタルクリニック下北沢では、睡眠障害の悩みについて幅広く対応しています。ストレスや気分の落ち込みなどを感じ、「睡眠が不安定になった」と感じたら、お早めにご相談ください。睡眠の不調を軽視せず、早期の対応で改善を目指しましょう。

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