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2025.09.10

精神科と心療内科の違いは?それぞれの特徴と受診時の選び方

精神科と心療内科の違いは?それぞれの特徴と受診時の選び方

精神的な不調を感じた時、「精神科」と「心療内科」のどちらを受診すればよいのか迷う人は少なくありません。

どちらも心の健康を扱う診療科ですが、受診に適した症状や治療のアプローチに違いがあります。それぞれの違いや基本的な特徴、受診に向いた症状や受診するべきタイミングなどを知っておくことにより、適切な受診先を選びやすくなるでしょう。

この記事では、精神科と心療内科の違いについて、それぞれの特徴や対応する症状、主な治療方法、受診のタイミングなどを紹介します。精神科と心療内科の違いを知りたい人や、これから受診を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

精神科の基本や特徴

精神科の基本や特徴

精神科は、うつ病や統合失調症などの精神疾患だけでなく、睡眠や不安の問題、強いストレス反応など幅広い症状に対応する診療科です。

ここでは、精神科とはどのような診療科か、どんな症状で受診できるのか、実際の治療内容や流れなどについて紹介します。

精神科とはどんな診療科か

精神科は、心の働きに関わる不調や精神的な疾患を専門的に診る診療科です。気分、思考、意欲、感情、行動などの不調を対象にして、以下のような点に注目しながら診断や治療を行います。

  • 脳の機能
  • 心理的ストレス
  • 環境要因 など

診療では、医師が問診や観察を通して状態を把握し、医学的に必要と判断されればほかの科と連携した対応も行います。

症状が生活や対人関係に影響している場合、早期の受診は堅実な選択です。また、軽度な不調でも「調子がおかしいな」と思ったら、やはり早期に受診しましょう。

精神科で相談できる具体的な症例

精神科で主に扱う症状は、いわゆる「心の病気」です。具体的には以下のような症例があります。

  • うつ病
  • 双極性障害(躁うつ病)
  • 統合失調症
  • 不安障害 など

また、アルコールや薬物の依存症やPTSD(心的外傷後ストレス障害)なども相談可能になっており、幅広い症状が対象です。

主な治療方法と診療内容

精神科で行われる治療の中心は、薬物療法(向精神薬の処方)と精神療法(カウンセリング等)です。

症状に応じて抗うつ薬・抗不安薬・抗精神病薬・睡眠薬などが処方され、心理面の治療として医師や臨床心理士によるカウンセリングが行われることが多いです。

必要に応じてグループ療法や家族療法、作業療法といったプログラムを用意する医療機関もあり、患者さん1人ひとりの状態に合わせてアプローチします。また、症状が重い場合や、自傷・他害の恐れがある場合には入院治療が検討されることもあります。

診療を受けるまでの流れ

精神科を受診する際は、予約が必要な場合が多いため、事前に電話やウェブから手続きを済ませておきましょう。

予約した日に来院したら、受付で保険証を提示して問診票を記入します。多くの場合、問診票では以下のような項目について記載を求められます。

  • 現在の症状
  • 既往歴
  • 服用中の薬 など

事前に症状の経緯や内容をメモしておくとスムーズです。

その後、診察室で医師から症状の内容や経過、生活状況、服薬歴などの聞き取りが行われることが一般的です。場合によっては心理検査や血液検査を行い、ほかの病気が隠れていないか確認することもあります。

診察の最後に医師から診断名と治療方針の説明があり、納得できれば治療を開始します。

精神科を受診するタイミング

憂うつな気分や強い不安が2週間以上続くなど、日常生活に支障が出ている場合には、我慢せずに精神科を受診してください。

例えば、以下のような状態が2週間以上続いている場合には受診をおすすめします。

  • 気分の落ち込みが続いている
  • ネガティブな考えが止まらない
  • 集中力が落ちて意欲がわかない
  • イライラして落ち着かない
  • 自責の念が強い
  • 過度な緊張や神経過敏

このような状態が続くようであれば、専門医への相談を検討しましょう。早めに専門家に相談することで症状の深刻化を防ぎやすくなります。

心療内科の基本や特徴

心療内科の基本や特徴

心療内科は、ストレスが原因になって現れる身体の症状に注目し、心と身体の両面から治療する診療科です。

一般的な内科と精神科の中間的な位置づけにあり、専門性の高さが特徴です。ここでは、心療内科の定義や対象になる症状、治療法、受診の流れなどについて紹介します。

心療内科とはどんな診療科か

心療内科は、ストレスなど心理的な要因によって体に症状が現れる「心身症」を主な対象にする診療科です。

厚生労働省によると、以下が心療内科の定義です。

心療内科は、心ストレスなど心理的な要因で体に症状(胃潰瘍、気管支ぜんそくなど)が現れる「心身症」をおもな対象としています。

厚生労働省:こころを専門に診る病院の種類は?より引用

つまり、精神的ストレスが原因で起こる体の病気に対して、従来の身体治療に心理面からのケアを加える診療科です。心療内科の医師は内科医としての知識に加え、心理療法の技術を用いて総合的な治療を行います。

心療内科で相談できる具体的な症例

心療内科では、心理的なストレスが影響する身体の症状について相談できます。

例えば、以下のような症状は心療内科の対象です。

  • 腹痛や下痢など原因不明の症状が長引く
  • ストレス時に起こる動悸や血圧の変動
  • 頭痛やめまい
  • 原因不明の慢性的な痛み など

つまり、「検査では異常なしと言われたが体の不調が続く」場合や、「ストレスがかかると体調が悪くなる」ような場合は、心療内科の受診が向いているでしょう。

主な治療方法と診療内容

心療内科では、身体面と心理面の両方から症状改善を目指す治療が行われます。薬物療法と並行して、心理療法を組み合わせた心身医学療法を行うのが特徴です。

具体的には、症状や患者さんの性格に応じて認知行動療法(物事の捉え方や行動パターンを修正する療法)や自律訓練法(リラクゼーション法)などを取り入れていきます。

薬については、抗不安薬や抗うつ薬など精神科で用いる薬に加えて、胃腸薬や漢方薬など身体症状を和らげる薬も組み合わせることもあります。

そのほか、睡眠習慣の改善やストレス対処法の指導など生活面へのアドバイスも重視されており、総じて患者さん1人ひとりに合わせた対応が可能です。

診療を受けるまでの流れ

心療内科受診の流れは精神科の場合とほぼ同じですが、必要に応じて身体の検査が行われる点が特徴です。

まず精神科と同様に予約を取り、来院後には問診票を記入します。診察では医師が症状やストレス要因について詳しく問診し、必要なら血液検査や心電図などを実施して身体面のチェックを行います。

診察結果をもとに診断と治療方針が決定され、医師から薬物療法や心理療法の計画について説明を受けます。納得の上で治療を開始することが重要なため、不安な点があればどんなことでも質問・相談しましょう。

なお、診察の結果、うつ病や不安障害など心の病気が中心だと判明した場合には、必要に応じて精神科の受診をすすめられる可能性もあります。

心療内科を受診するタイミング

ストレスが原因だと考えられる身体の不調が続く場合は、心療内科の受診を検討しましょう。

例えば、内科の検査で異常がないのに腹痛や下痢など原因不明の症状が長引くケースでは、心療内科での治療が有効なケースも少なくありません。

一方、明らかな身体疾患が疑われる場合はまず通常の内科など、適切な診療科で先に診察してください。

内科治療でも状態が改善せず、心理的要因が考えられる時には、精神科の受診が必要になる場合もあります。

症状から見る受診のポイント

症状から見る受診のポイント

精神科と心療内科では診る対象が異なるため、適切な診療科を選ぶためには症状の性質を知ることが重要です。

ここでは、身体に出るストレス反応や心の変化に注目し、受診先の選び方を紹介します。

身体に出るストレスサインを見逃さない

強いストレスにさらされると、心だけでなく身体にも様々なサインが現れます。

以下のような身体の症状はストレスのサインである可能性が高いです。

  • 原因不明の肩こり、頭痛、腹痛、腰痛
  • 寝つきが悪い、夜中や早朝に目が覚める
  • 食欲がなくなる、食べ過ぎてしまう
  • 下痢や便秘をしやすくなる
  • めまい・耳鳴り

このような身体症状が続いている時は、それがストレスによる信号かどうか、生活を振り返ってみましょう。

気分の落ち込みや不安を軽視しない

心理面のストレスサインにも注意が必要です。ストレスで心に負荷がかかると、落ち込みや不安感をはじめ、以下のような変化が現れます。

  • 不安や緊張が高まり、イライラしたり怒りっぽくなったりする
  • 気分が落ち込んでやる気がなくなる
  • 人づきあいが面倒で避けるようになる

このような気分の落ち込みや不安感は「気のせい」ではなく、心の不調である可能性があります。特に、それが長引いて日常生活に影響するようなら、早めに専門医への相談をおすすめします。

自分で「大したことない」と思い込まず、眠れない日が続く、憂うつな気分が晴れないといった症状が続けば、ぜひ一度受診を検討しましょう。

どちらを受診するか迷ったら

精神科と心療内科のどちらを受診するか迷った時は、症状が深刻化する前にクリニックへ電話などで相談する方法もおすすめです。

自分の症状は精神科なのか心療内科なのか、問い合わせをすれば適切な回答が得られます。最初にかかった科で対応しきれない場合でも、医師が適切な専門医療機関を紹介するため、「違っていたらどうしよう」と心配しすぎずに診察を受けてください。

一人で抱えず、専門家への相談を大切に

メンタルヘルスの悩みは、1人で抱え込まないことが大切です。

信頼できる家族や友人に話を聞いてもらうのもよいですが、できるだけ早めに専門の医療機関を受診し、適切な治療につなげることも心身の悪化を防ぎやすくなります。通院歴や薬に対して不安を抱く方もいますが、早期受診をせず状態が悪化してしまう方が大きなリスクだと考えましょう。

受診で気になることへの考え方

受診で気になることへの考え方

精神科や心療内科を受診する際は、治療内容や準備、周囲への伝え方に不安を感じることがあります。

ここでは、受診時の不安軽減に役立つ、受診前に確認しておきたいポイントや医療機関の選び方を紹介します。

受診までの流れと事前の準備

初診に備えて予約方法や当日の持ち物を確認しておきましょう。

電話やウェブで予約できる医療機関が多いため、行く予定のクリニックがどのような方法で対応しているか調べておくとスムーズです。また、持ち物も用意しておくと安心でしょう。例えば、当院メンタルクリニック下北沢では初診時に以下のものをお持ちいただいています。

  • 保険証
  • 診察情報提供書/紹介状(あれば)
  • 各種受給者証(あれば)
  • お薬手帳(服用中の薬がある場合)

診察で症状をうまく伝えられるか不安な時は、事前に要点をまとめたメモを用意しておくのも便利です。

どんな治療やサポートがあるかを知る

精神科・心療内科では、薬物療法だけでなくカウンセリングなどさまざまな治療やサポートが受けられます。

1人ひとりに合わせた治療法が選択されるため、希望や不安があれば先に医師へ伝えておきましょう。精神科の薬は効果が出るまで時間がかかることも多く、初めは病名がはっきり確定しない場合も少なくありません。焦らずに治療を続けることが大切です。

家族や職場への伝え方と配慮

精神科・心療内科への通院を家族や職場にどう伝えるか悩む人も多いかもしれません。しかし、治療への理解と協力を得るためにも、無理のない範囲での説明をおすすめします。

まず、症状に合わせて適切な治療をすれば症状が改善する病気であることを説明し、日常生活でサポートしてもらいたいことがあれば伝えてみましょう。職場で休職制度を利用する際は主治医に診断書を書いてもらいましょう。会社に産業医や相談窓口があれば、そちらにも相談してください。

自分に合った医療機関を見つけるには

医師によって専門分野や得意分野が異なるため、自分の症状に合った医療機関を選ぶことも大切です。事前に公式サイトなどで医師の専門や治療内容、スタッフ体制、診療時間、院内の設備などを確認しておくと心配が軽減しやすくなります。

不明点は電話やメールで問い合わせ、もし実際に受診して「合わない」と感じたら、セカンドオピニオンを求めることも検討してください。

まとめ

精神科は心の不調そのものを、心療内科は心因性の身体症状を扱う診療科です。それぞれ分野が違いますが、「どちらか分からない」と迷った時には問い合わせるとよいでしょう。

診察の結果、他科がよいという判断があれば、医師が責任を持って紹介してくれます。精神科・心療内科への受診は心の健康を守るために有効な選択肢です。

メンタルクリニック下北沢では、精神科・心療内科の両科に対応しています。「どちらの診療科なのか」と迷う患者さんも、当院であれば適切な科で素早い判断が可能です。心当たりのある症状が出た時には1人で抱え込まず、ぜひご相談ください。