メンタルクリニック下北沢

身体症状症および関連症群

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最終更新日:2025.05.02

身体症状症および関連症群

 

♦身体症状症

1つまたはそれ以上の苦痛を伴う日常生活に意味のある混乱を引き起こす身体症状があり
思考、感情、行動において
⑴自分の症状の深刻さについての不釣り合いかつ持続する思考
⑵健康または症状についての持続する強い不安
⑶これらの症状、または健康への懸念に費やされる過度の時間と労力
自らの身体症状が非常に恐ろしいもので、有害であり、厄介であると訴え、最悪のことを予想してしまう。

 

♦病気不安症

重い病気であるというとらわれがあり、
身体症状は存在しないかまたはごく軽度。健康に対する強い不安があり恐怖を感じる。
繰り返し精密検査など健康関連行動を繰り返す。

 

♦機能性神経症状症

1つまたはそれ以上の随意運動、感覚機能の変化の症状があり、その症状が他の医学的疾患では説明されない。
脱力、麻痺、異常運動、嚥下症状、発語症状、発作・けいれん、知覚麻痺・感覚症状など。
離人感、現実感消失、解離性健忘などの解離症状をともなうことがある。

 

19世紀末、フロイトは「転換(conversion)」という用語で無意識の葛藤が身体症状に現れることを指摘した。20世紀にはCharcotらの「ヒステリー」研究を経て、DSM-III(1980年)で多彩な身体症状を訴える「身体化障害(Somatization Disorder)」や、「心気症(Hypochondriasis)」、「転換性障害」などが独立した診断名として導入された。DSM-IV(1994年)でもこれらは「身体表現性障害」の下位分類として継承された。

2013年発行のDSM-5では、これらの概念が大幅に再編された。DSM-5では「身体表現性障害」概念が「身体症状症および関連症群(Somatic Symptom and Related Disorders)」に変更され、DSM-IVの身体化障害・疼痛障害はSSDに、DSM-IVまでの「心気症(Hypochondriasis)」は、身体症状の有無にかかわらず病気を恐れる「病気不安症」と再定義された​。さらに「転換性障害」もDSM-5では「機能性神経症状症(Functional Neurological Symptom Disorder)」とされ、身体症状で説明がつかない神経学的症状を特徴とする診断群となった。