メンタルクリニック下北沢

強迫症および関連症群

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最終更新日:2025.04.30

強迫症および関連症群

 

♦強迫症

強迫観念(繰り返し生じ持続する思考、衝動、イメージ、侵入的で望ましくないもの)
強迫行為(繰り返される行動または心の中の行為)で特徴付けられる。
洗浄、対称へのこだわり、タブー思考、加害、ためこみなど。
発達上の標準的な没頭や習慣とは、その過剰さ、または発達上の適切な範囲を超えて存在する事によって区別される。
多くの時間を浪費し、生活上の苦痛、障害を引き起こす。

 

♦醜形恐怖症

身体的外見に関する知覚された欠陥欠点にとらわれている。他者には認識しづらいが、本人は過剰な見繕いなど繰り返し行動、
他者と外見を比較する精神的行為などを行い続ける。他者に対して被害関係妄想を持つことも多い。

 

♦ためこみ症

実際の価値とは関係なく所有物を捨てること手放すことが持続的に困難。
保存欲求、廃棄への苦痛が強い。それによって生活空間が物でいっぱいになり、部屋の使用が困難になる。
もし物の収集が強迫症における汚染、加害に対する恐怖、不完全感のような強迫観念からの結果である場合は、ためこみ症とは診断されない。

 

♦抜毛症

繰り返し体毛を抜き、その結果体毛を喪失する。
体毛を抜くことを減らす、やめようと繰り返し試みるが奏功しない。通常、不安、退屈な感覚が引き金となり緊張感の増加および
抜毛後の満足、快楽、安堵感などを抜毛前後に伴う。皮膚をひっかく、爪を噛む、唇をかむなど。

 

17世紀には宗教的強迫観念として報告があり、

19世紀にフランスのエスキロルらはこれを「単相狂(partial insanity)」の一種と考えた。

醜形恐怖症は1891年にイタリアの精神科医モルセッリが「醜形恐怖(dysmorphophobia)」と命名し、美的欠陥への過剰な執着として報告した。

20世紀後半以降、DSM(精神疾患の診断基準)により各疾患の定義が明確化され、

DSM-III(1980年)では強迫症が初めて公式に診断名として登場した。

特にDSM-5(2013年)では「強迫症および関連症群」という新たな章が設けられ、OCDに加え、醜形恐怖症、抜毛症、皮膚むしり症(excoriation disorder)、 薬物/身体疾患誘発性OCRD、ためこみ症(DSM-5で新設)などが同列に分類された。つまり近年、これらの疾患は互いに関連性の高い病態群と位置づけられている。