メンタルクリニック下北沢

パーソナリティ障害群

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最終更新日:2025.05.01

パーソナリティ障害群

 

その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式。
⑴認知(自己、他者、出来事を知覚、解釈する仕方)
⑵感情性(情動反応の範囲、強さ、不安定さ、適切さ)
⑶対人関係機能
⑷衝動の制御
それらは柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。
社会的職業的他の重要な領域に及んでいる。
それは長時間続いておりその始まりは青年期、成人期早期にまでさかのぼることができる。

 

一般的に
A群:奇妙で風変わりなタイプ
B群:演技的、情緒的、移り気なタイプ
C群:不安、恐怖が強いタイプ
に分けられる

 

♦A群パーソナリティ障害
♢猜疑性/妄想性パーソナリティ障害
♢シゾイドパーソナリティ障害
♢統合失調型パーソナリティ障害

 

♦B群パーソナリティ障害
♢反社会性パーソナリティ障害
♢境界性パーソナリティ障害
♢演技性パーソナリティ障害
♢自己愛性パーソナリティ障害

 

♦C群パーソナリティ障害
♢回避性パーソナリティ障害
♢依存性パーソナリティ障害
♢強迫性パーソナリティ障害

 

パーソナリティ障害は

持続的で柔軟性に乏しい認知・感情・行動パターンを特徴とする精神疾患群。

その概念は古代ギリシャのヒポクラテスにまで遡り、ヒポクラテスは紀元前400年頃に「四体液説」を提唱し、黒胆汁の過剰が melancholia(恐怖・悲哀)と結びつくと記述していた。

米国精神医学会のDSMでは、

1952年のDSM-Iで初めて「人格パターン障害」が登場し、

1968年のDSM-IIでは精神分析的な記述が用いられたが明確な基準はなかった。

転換点は1980年のDSM-IIIで、この版から各パーソナリティ障害に多面的基準が導入され、症状がリスト形式で示された。

またDSM-IIIではA(奇妙型)・B(劇的・情動的・移り気型)・C(不安型)の3クラスターに分類し、境界性や自己愛性、反社会性など11種類が規定された。その後、DSM-III-R(1987)では受動攻撃性パーソナリティ障害が検討項目(Appendix)へ移動し、

DSM-IV(1994年)では体系は維持され、DSM-5(2013年)でも大半の分類と基準は変わらなかったが、DSM-5付録に代替モデルとして次元的アプローチが示された。

WHOのICDでもICD-10(1992年)から人格障害(F60~F69)が規定された。ICD-10ではDSMに近い診断名(例:情緒不安定性=境界性PD)を用いている。

2022年に施行されたICD-11では、従来の類型的分類を廃し、

パーソナリティ障害全体を重症度と「特性ドメイン」で規定する次元的モデルに変更された。

ICD-11では「軽度~重度」の区別と、否定的情緒・反社会性・強迫性・社会的引きこもり・逸脱性(抑制欠如)の5領域でパーソナリティ特徴を記述している。これにより、従来のクラスター型よりも「健常な性格特性と障害性の連続体」として捉える流れが強調されている。