食行動障害および摂食障害群
最終更新日:2025.05.01
食行動障害および摂食障害群
♦異食症
紙、石鹸、布、髪、紐、羊毛、土、チョーク、ベビーパウダー、絵具、ガム、金属など、
非栄養的非食用物質を持続的に摂取する。発達的に見て不適切で文化的社会的に標準な習慣でもない。
♦回避・制限性食物摂取症
有意の体重減少、有意の栄養不足、経腸栄養または経口栄養摂取補助食品への依存、心理社会的機能の著しい障害
など。幼児期~小児期早期に発症し、成人期まで続くこともある。その後の摂食障害の発症を直接関連付ける証拠は十分ではない。
♦神経性やせ症
持続性のカロリー摂取制限、体重増加または肥満に対する強い恐怖または体重増加を阻害する行動の持続、体重または体型に関する自己認識の障害。
結果として年齢性別等に比して正常下限を下回る体重を維持している。食物に関する思考に心を支配されている。
一部のやせ症は過剰な身体的活動性を示す。10年あたりの粗死亡率はおよそ5%と警戒が必要な疾患である。
♦神経性過食症
反復する過食エピソード、体重増加を防ぐための不適切な代償行動、体型および体重によって過度に影響を受ける自己評価を特徴とする。
過食エピソードの際、抑制不能、止められない感覚に支配されていることが特徴。
♦過食性障害
神経性過食症と同様の過食エピソードが同様の頻度であり、
⑴速く
⑵苦しいくらい満腹になるまで
⑶身体的に空腹を感じていないときに大量に
⑷恥ずかしさから一人で 過食をおこなう。など。
⑸その際 自己嫌悪、抑うつ気分、罪責感など自覚。
特に代償行動はなく、治療成績も過食症よりも良い。
摂食障害(神経性やせ症〔AN:アノレキシア・神経性無食欲症〕、神経性過食症〔BN:ブリミア・神経性大食症〕、むちゃ食い症〔BED:過食性障害〕、回避・制限性食物摂取症〔ARFID〕など)は、食行動と体重への認知の病的変化を特徴とする精神疾患群。
ICD-11/DSM-5ではこれらをまとめて「食行動障害および摂食障害群」と分類し、
DSM-5では新たにむちゃ食い症とARFIDが独立疾患として追加された。
神経性やせ症は極端な体重減少と体型への歪んだ認知が、神経性過食症は反復する過食とそれに対する嘔吐などの排出行動が特徴で、
いずれも自己評価が体重・体型に過度に影響される点で共通する。
むちゃ食い症は反復する過食を示しますが過剰な代償行動は伴わず、ARFIDは食物への拒否や摂取量の著しい制限を示し、体型への恐怖を伴わない点でAN・BNと異なる。
これら各疾患は、摂食・栄養の障害以外に身体的合併症や生命リスクも高いことが知られており、臨床的対応が重要。