メンタルクリニック下北沢

疾患説明

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疾患説明

パーソナリティ障害群

その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式。
⑴認知(自己、他者、出来事を知覚、解釈する仕方)
⑵感情性(情動反応の範囲、強さ、不安定さ、適切さ)
⑶対人関係機能
⑷衝動の制御
それらは柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。
社会的職業的他の重要な領域に及んでいる。
それは長時間続いておりその始まりは青年期、成人期早期にまでさかのぼることができる。

 

一般的に
A群:奇妙で風変わりなタイプ
B群:演技的、情緒的、移り気なタイプ
C群:不安、恐怖が強いタイプ
に分けられる

 

♦A群パーソナリティ障害
♢猜疑性/妄想性パーソナリティ障害
♢シゾイドパーソナリティ障害
♢統合失調型パーソナリティ障害

 

♦B群パーソナリティ障害
♢反社会性パーソナリティ障害
♢境界性パーソナリティ障害
♢演技性パーソナリティ障害
♢自己愛性パーソナリティ障害

 

♦C群パーソナリティ障害
♢回避性パーソナリティ障害
♢依存性パーソナリティ障害
♢強迫性パーソナリティ障害

パラフィリア障害群

第一群 異常な行動の嗜好性

♦求愛障害
行動のゆがんだ要素
♢窃視障害
♢露出障害
♢窃触障害

 

♦苦痛性愛傷害
痛みや苦痛を伴う
♢性的マゾヒズム障害
♢性的サディズム障害

 

第二群 異常な性的対象の嗜好性

♢小児性愛傷害
♢フェティシズム障害
♢異性装障害

解離症群

意識、記憶、同一性、情動、知覚、身体表象、運動制御、行動の正常な統合における破綻、不連続。
a)主観的体験の連続性喪失を伴った、意識と行動へ意図せずに生じる侵入(同一性の断片化、離人感、現実感消失といった陽性解離症状)
b)通常は容易であるはずの情報の利用や精神機能の制御の不能(健忘などの陰性解離症状)
しばしば心的外傷直後に生じ、健忘、フラッシュバック、麻痺、離人感などの解離症状はPTSDの主要症状である。

 

♦解離性同一症

二つまたはそれ以上の他とはっきり区別されるパーソナリティ状態によって特徴付けられた同一性の破綻。
他の人から指摘されたり、本人から報告されることもある。
日々の出来事、重要な個人情報、心的外傷的出来事の想起についての空白の繰り返し。
環境要因として、他者からの身体的性的虐待が関連していることが多い。
欧州においてはこの障害を持つ人々の約90%に小児期の虐待およびネグレクトが存在するとした報告もある。

 

♦解離性健忘

重要な自伝的情報で心的外傷的またはストレスの強い性質をもつものの想起が不可能であり、通常の物忘れでは説明ができない。
通常は限局性健忘(ある特定期間の出来事の想起不能)だが、時に数年に及ぶ。選択的健忘、全般性健忘、系統的健忘、持続性健忘など時にみられる。
発症は通常急激で、要因としては 小児期の好ましくない身体性的虐待、暴力のある人間関係などを背景に起こりやすいとされる。

 

♦離人感・現実感消失症

離人感;自らの考え、感情、感覚、身体、または行為について、非現実、離脱、または外部の傍観者であると感じる体験
現実感消失;周囲に対して、非現実または離脱の体験
これらが一定程度症状持続し、それ以外の現実検討は正常に保たれている状態。
これらの症状は機能障害よりも生きている実感が持てない状態自体が実際大変苦痛を伴うもので強い情動的痛みをもたらす。
またこの症状はあらゆるといってよい精神疾患において併存することがありうる。

強迫症および関連症群

♦強迫症

強迫観念(繰り返し生じ持続する思考、衝動、イメージ、侵入的で望ましくないもの)
強迫行為(繰り返される行動または心の中の行為)で特徴付けられる。
洗浄、対称へのこだわり、タブー思考、加害、ためこみなど。
発達上の標準的な没頭や習慣とは、その過剰さ、または発達上の適切な範囲を超えて存在する事によって区別される。
多くの時間を浪費し、生活上の苦痛、障害を引き起こす。

 

♦醜形恐怖症

身体的外見に関する知覚された欠陥欠点にとらわれている。他者には認識しづらいが、本人は過剰な見繕いなど繰り返し行動、
他者と外見を比較する精神的行為などを行い続ける。他者に対して被害関係妄想を持つことも多い。

 

♦ためこみ症

実際の価値とは関係なく所有物を捨てること手放すことが持続的に困難。
保存欲求、廃棄への苦痛が強い。それによって生活空間が物でいっぱいになり、部屋の使用が困難になる。
もし物の収集が強迫症における汚染、加害に対する恐怖、不完全感のような強迫観念からの結果である場合は、ためこみ症とは診断されない。

 

♦抜毛症

繰り返し体毛を抜き、その結果体毛を喪失する。
体毛を抜くことを減らす、やめようと繰り返し試みるが奏功しない。通常、不安、退屈な感覚が引き金となり緊張感の増加および
抜毛後の満足、快楽、安堵感などを抜毛前後に伴う。皮膚をひっかく、爪を噛む、唇をかむなど。

食行動障害および摂食障害群

♦異食症

紙、石鹸、布、髪、紐、羊毛、土、チョーク、ベビーパウダー、絵具、ガム、金属など、
非栄養的非食用物質を持続的に摂取する。発達的に見て不適切で文化的社会的に標準な習慣でもない。

 

♦回避・制限性食物摂取症

有意の体重減少、有意の栄養不足、経腸栄養または経口栄養摂取補助食品への依存、心理社会的機能の著しい障害
など。幼児期~小児期早期に発症し、成人期まで続くこともある。その後の摂食障害の発症を直接関連付ける証拠は十分ではない。

 

♦神経性やせ症

持続性のカロリー摂取制限、体重増加または肥満に対する強い恐怖または体重増加を阻害する行動の持続、体重または体型に関する自己認識の障害。
結果として年齢性別等に比して正常下限を下回る体重を維持している。食物に関する思考に心を支配されている。
一部のやせ症は過剰な身体的活動性を示す。10年あたりの粗死亡率はおよそ5%と警戒が必要な疾患である。

 

♦神経性過食症

反復する過食エピソード、体重増加を防ぐための不適切な代償行動、体型および体重によって過度に影響を受ける自己評価を特徴とする。
過食エピソードの際、抑制不能、止められない感覚に支配されていることが特徴。

 

♦過食性障害

神経性過食症と同様の過食エピソードが同様の頻度であり、
⑴速く
⑵苦しいくらい満腹になるまで
⑶身体的に空腹を感じていないときに大量に
⑷恥ずかしさから一人で 過食をおこなう。など。
⑸その際 自己嫌悪、抑うつ気分、罪責感など自覚。
特に代償行動はなく、治療成績も過食症よりも良い。

心的外傷及びストレス因関連障害群

♦反応性アタッチメント障害/反応性愛着障害

幼児~小児期早期において
大人の養育者に対する抑制され情動的に引きこもった行動
最小限にしか安楽、支え、保護、アタッチメントを進んで求めようとしない。
苦痛を感じたときに養育者から保護を求めるための一貫した努力を示さない。
養育者との日常的な交流の中で陽性の情動の表出の減少、欠如。

 

♦脱抑制型対人交流障害

幼児~小児期早期において
ほとんど初対面の人への文化的に不適切で過度の馴れ馴れしさを含む行動様式。

上記2疾患はともに社会的ネグレクト(小児期の不適切な養育)が病因と想定されている。
前者が抑うつ、引きこもりなどの内在化障害、後者が脱抑制となる外在化行動を引き起こす。

 

♦心的外傷後ストレス障害

A 実際にまたは危うく死ぬ、重傷を負う、性的暴力を受ける出来事への以下のいずれか一つの暴露。
⑴心的外傷的出来事を直接体験する
⑵他人に起こった出来事を直に目撃する
⑶近親者友人に起こった心的外傷的出来事を耳にする
⑷心的外傷的出来事の情報に繰り返し極端に暴露される

 

B 出来事の後に始まる 精神的侵入症状
⑴出来事の反復的、不随意的、侵入的で苦痛な記憶
⑵出来事に関連した反復的で苦痛な夢
⑶フラッシュバックなど、出来事が再度起こっているような解離症状
⑷想起に伴う心理的生理的苦痛

 

C 心的外傷的出来事に関連する刺激の持続的回避
苦痛な記憶、思考、感情、またそれを想起させる事象からの回避。

 

D 認知と気分の陰性変化
⑴解離性健忘
⑵世界に対する否定的信念
⑶自罰・他罰傾向
⑷持続的陰性感情
⑸活動性低下
⑹陽性感情を維持できない

 

E 覚醒度・反応性の著しい変化
⑴対人対物への激しい怒り
⑵過度の警戒心
⑶自己破壊的行動
⑷過剰な驚愕反応
⑸集中困難
⑹睡眠障害

 

♦適応障害

はっきり確認できるストレス因に反応してそのストレス因の始まりから3か月以内に情動面・行動面の症状が出現。
⑴ストレス因に不釣り合いな程度や強度を持つ著しい苦痛
⑵社会的職業的他の重要な領域における機能の重大な障害
この疾患は心的外傷に至らない程度の広範なストレスが病因となる機能障害で、高ストレス社会の現代においては全ての人にリスク要因が
あると考えるべき。ちなみにこの疾患名は具体的な障害の内容については触れていないが、
分類下位項目で 抑うつ気分 不安など具体的な症状について特定するように求めている。

神経認知障害群

♦認知症/軽度認知障害

1つ以上の認知領域(複雑性注意、実行機能、学習および記憶、言語、知覚ー運動、社会的認知)において以前の行為水準から有意な認知の低下がある。
毎日の活動において認知欠損が自立を阻害している。
♢アルツハイマー病
♢前頭側頭葉変性症
♢レビー小体病
♢血管性疾患
♢外傷性脳損傷
♢プリオン病
♢パーキンソン病
♢ハンチントン病

 

♦せん妄

元の認知水準からの変化を伴った注意や意識の障害。注意の障害は注意の方向付け、集中、維持、転換する能力の低下として現れる。
その人の注意が揺れ動くため質問を繰り返さなければならなかったり、その人は適切に注意を転換するよりも前の質問への回答に保続していたりする。
無関係な刺激に容易に注意をそらされる。意識の障害は環境、時に自己に対する見当識の低下として現れる。
障害は短期間で形成され、1日のうちで変動する傾向がある。夕方夜間に憎悪する。
誤認、錯覚、幻覚なども時にあり。

神経発達障害群

幼児期・小児期に発症し、中枢神経系の生物学的成熟と密接に関係した機能発達の障害あるいは遅滞。
個人的、社会的、学業、職業における機能障害をもたらす。
主な障害として
知的能力障害、コミュニケーション症群、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、神経発達運動症群、限局性学習症などが挙げられる。

 

♦知的能力障害(知的発達症)

いわゆる全般的知的機能の欠陥があり、それらが発達期に発現している。また
以下3領域における適応機能の欠陥がみられる。
概念的(学問的)領域 『記憶、言語、読字、書字、数学的思考、実用的知識など』
社会的領域 『他者の思考、感情、体験を認識すること、共感、対人的コミュニケーション技術、友情関係を築く、社会的判断など』
実用的領域 『セルフケア、仕事の責任、金銭管理、娯楽、行動の自己管理、学校と仕事の課題の調整など』

 

♦自閉スペクトラム症

複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人相互反応における持続的な欠陥がある。以下3項目。

 

⑴ 相互の対人的ー情緒的関係の欠落で、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやり取りのできないこと、興味、情動、感情を共有することの少なさ、
  社会的相互反応を開始したり応じたりすることが難しい。

⑵ 対人的相互反応で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥。まとまりの悪い言語的、非言語的コミュニケーション、視線を合わせること、身振りの異常、
  身振りの理解、その使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥。

⑶ 人間関係を発展、維持、理解することの欠陥。社会的状況にあった行動に調整することの困難、想像上の遊びを他者と楽しむ、仲間に対する興味の欠如。

 

行動、興味、活動の限定された反復的な様式で、現在または病歴によって、以下4項目のうち少なくとも2項目該当。

 

⑴ 常同的または反復的な身体の運動、物の使用、会話。
⑵ 同一性への固執、習慣へのこだわり、言語的非言語的な儀式的行動様式。
⑶ 強度、または対象において異常なほどきわめて限定され執着する興味。
⑷ 感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、環境の感覚的側面に対する並外れた興味。

 

♦注意欠如・多動症

⑴⑵の少なくとも一方が6項目以上(17歳以上は5項目以上)該当する

 

⑴不注意症状
a 学業、仕事、他の活動中にしばしば綿密に注意することができない。不注意な間違いをする。
b 課題または遊びの活動中に注意持続が困難。
c 直接話しかけられたときに聞いていないように見える。
d 指示に従えず、学業、用事、職場での義務をやり遂げることができない。
e 課題、活動を順序だてて行うことが困難。
f 精神的努力の持続を要する課題に従事する事を避ける、嫌がる。
g 課題、活動に必要なものをしばしばなくしてしまう。
h 外的な刺激で気が散ってしまう。
i 日々の活動で忘れっぽい。

 

⑵多動性および衝動性
a 手足をソワソワ動かす、とんとんたたく、椅子の上でもじもじする。
b とどまる必要があるのに離席。
c 不適切に走り回る、高いところに上る。
d 静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
e じっとしていない。
f しゃべりすぎる。
g 質問が終わる前に出し抜いて答え始める。
h 自分の順番を待つことが困難。
i 他人を妨害、邪魔をする。</p

 

症状は12歳以前からいくつか存在し、家庭、学校など複数の状況でみられる。

身体症状症および関連症群

♦身体症状症

1つまたはそれ以上の苦痛を伴う日常生活に意味のある混乱を引き起こす身体症状があり
思考、感情、行動において
⑴自分の症状の深刻さについての不釣り合いかつ持続する思考
⑵健康または症状についての持続する強い不安
⑶これらの症状、または健康への懸念に費やされる過度の時間と労力
自らの身体症状が非常に恐ろしいもので、有害であり、厄介であると訴え、最悪のことを予想してしまう。

 

♦病気不安症

重い病気であるというとらわれがあり、
身体症状は存在しないかまたはごく軽度。健康に対する強い不安があり恐怖を感じる。
繰り返し精密検査など健康関連行動を繰り返す。

 

♦変換症/転換性障害

1つまたはそれ以上の随意運動、感覚機能の変化の症状があり、その症状が他の医学的疾患では説明されない。
脱力、麻痺、異常運動、嚥下症状、発語症状、発作・けいれん、知覚麻痺・感覚症状など。
離人感、現実感消失、解離性健忘などの解離症状をともなうことがある。

睡眠ー覚醒障害群

夜間睡眠時に起こる様々な障害。基本的には
終夜睡眠ポリグラフ検査(ポリソムノグラフィー;PSG)を用いて診断、分類を行う。

 

♦不眠障害

入眠時不眠、睡眠維持不眠、後期不眠、回復感のない睡眠など。
それに伴い 疲労倦怠感、注意力集中力記憶力の低下、社会生活上の機能障害、気分不安定、日中の眠気、睡眠に対する不安など。

 

♦閉塞性(中枢性)睡眠時無呼吸低呼吸

睡眠1時間当たり5回以上の閉塞性無呼吸または低呼吸の証拠、および
⑴夜間の呼吸障害
⑵日中の眠気、疲労感、回復感のない睡眠
または
1時間当たり15回以上の閉塞性無呼吸または低呼吸

 

閉塞性は上気道の閉塞、中枢性は心不全、脳卒中、腎不全など身体疾患が病因となることが多い。

 

♦中枢性過眠症群

♢ナルコレプシー
睡眠発作 入眠時幻覚、睡眠麻痺に加えて
情動脱力発作(カタプレキシー)(笑いや冗談といった情動によって惹起される、突然の両側性の筋緊張低下)
これがあるなしでタイプ1とタイプ2に大まかに分けられる。
より正確には脳脊髄液のオレキシンA濃度を測定する必要がある。

 

♢特発性過眠症
日中の過剰な眠気が情動脱力発作なしで起こり、総睡眠時間が24時間で660分以上であるなど、明らかな過眠症状
がみられること。現在のところ病態生理ははっきりわかっていない。

 

♢クライネーレビン症候群(反復性過眠症)
病相期と間欠期があり、間欠期には覚醒水準、認知機能、行動、気分は正常。
病相期には過度の眠気、睡眠持続時間が継続する。
また病相期に 認知機能障害、知覚変容、摂食障害、脱抑制行動などみられる。
この疾患も病態生理は今のところ不明である。

 

♦概日リズム睡眠・覚醒障害群

内的概日リズム発信する周期の乱れ、あるいは個人の睡眠・覚醒傾向の概日リズムと24時間の社会及び身体活動の
リズムとのずれによって生じる睡眠・覚醒パターンの障害。不眠、過度の眠気、その両方を引き起こす。

 

♢睡眠・覚醒相後退障害
♢睡眠・覚醒相前進障害
♢不規則睡眠・覚醒リズム障害
♢非24時間睡眠・覚醒リズム障害
♢交代勤務障害
♢時差障害

 

♦睡眠時随伴症群

A ノンレム関連睡眠時随伴症群

 

♢睡眠時遊行症/睡眠時驚愕症
ノンレム睡眠からの覚醒障害で脱抑制行動パターンが出現しやすい。睡眠時間帯の最初の3分の1で起こることが通常。
エピソード終了後に、錯乱あるいは混乱したような状態が続くことがある。

 

♢睡眠関連摂食障害
睡眠時間帯の間の覚醒後に出現する、反復する異常な摂食行動エピソード
⑴食物、非食用の物、毒物を奇妙な形式や組み合わせで口にする
⑵食物を探したり調理したりするときに睡眠に関連して怪我をするような行動をする。
⑶反復する夜間の摂食行動によって、健康への悪影響が引き起こされる
想起障害が残る。

 

B レム関連睡眠時随伴症群

 

♢レム睡眠行動障害
レム睡眠時に起こるけがや睡眠分断を引き起こしかねない異常行動。通常不快でアクション満載の暴力的な夢内容を
行動化しようとして起こる。典型的には、エピソードの終わりに速やかに覚醒し、すぐに意識清明になって、
首尾一貫したストーリーの夢を話すことができる。

 

♦睡眠関連運動障害群

♢むずむず脚症候群
足を動かさずにいられない強い衝動。下肢に起こる不快で嫌な感覚。
⑴横たわったり座ったりといった休息時静止時に始まるあるいは悪化する。
⑵少なくとも歩いたり体を伸ばしたりといった運動中には部分的あるいは完全に症状が楽になる。
⑶夕方や夜間だけに生じるあるいは日中よりも主に夕方や夜間に生じる。
周期性四肢運動障害の合併が高率である。

性別違和

出生時のジェンダー(周囲から指定された性別)と個人が体験、表出するジェンダーの著しい不一致がある場合。
体験するジェンダーは男女という観念を超えた性同一性のこともある。
性的志向とは別。

双極性障害及び関連障害群

双極Ⅰ型障害、双極Ⅱ型障害、気分循環性障害など。

 

♦双極Ⅰ型障害

気分が異常かつ持続的に高揚し、開放的または易怒的となる。
加えて、持続的に活動または活力が亢進する。かつ行動面で誇大的、睡眠減少、多弁、観念奔逸など。
少なくとも一週間ほぼ大半この状態が続く。いわゆる躁病エピソードと呼ばれる状態があり、その前後にも
軽躁エピソード、抑うつエピソードなどが連なっているなど、気分の変動が著しい。

 

♦双極Ⅱ型障害

Ⅱ型は軽躁エピソードおよび抑うつエピソードからなる。
抑うつエピソードとしては
ほとんど毎日の(2週間以上)抑うつ気分があり、興味喜びの著しい減退、食欲の減退、不眠あるいは過眠、気力減退など。
Ⅱ型はⅠ型に比べて機能障害は相対的に少ない場合も多いが、一方で抑うつエピソードの長さや、自殺リスクなど、決して
Ⅰ型に比べて軽視してよい病態ではない。

秩序破壊的・衝動制御・素行症群

♦反抗挑発症/反抗挑戦性障害

怒りっぽく易怒的な気分、口論好き挑発的な行動、執念深さなどの様式が持続する。
自分自身は怒りっぽく反抗的挑発的とは見ていないことが多い。
注意欠如多動症、素行症が伴うことがある。
初発は通常就学前。素行症の発症に先立つ場合がある。人や動物に向けた攻撃性や所有物の破壊、盗みや詐欺などの様式は含まない。

 

♦素行障害

本質的特徴は他者の基本的人権または年齢相応の主要な社会的規範または規則を侵害する事を反復持続する行動様式。
他の人や動物に身体的危害を加えたり脅かす攻撃的行為、所有物の損失や損傷を引き起こす非攻撃的行為、虚偽性や窃盗、重大な規則違反など。
家庭学校地域など様々な場面でみられる。小児期中期から青年期中期にかけて現れる。

統合失調症スペクトラム障害および他の精神病性障害群

統合失調症、統合失調型パーソナリティ障害など。
以下の5領域のうち1つかそれ以上の異常が特徴。

 

♦妄想

被害、関係、身体、宗教、誇大、被愛、虚無、身体などにおよぶ。
相反する証拠があっても変わらない固定化した信念。明らかに奇異なものから
了解可能なものまで、またその確信度もさまざまである。

 

♦幻覚

外的刺激がないのに起こる知覚体験。鮮明、意思で制御できない。統合失調症および関連障害群では幻聴が最も多い。

 

♦思考形式

会話が別に方向に脈絡なくそれていく(脱線、連合弛緩)、理解不能で言語的無秩序(支離滅裂、言葉のサラダ)など、
有効なコミュニケーションがとれない。

 

♦異常な運動行動

指示に抵抗する(拒絶症)、硬直し不適切、奇異な姿勢を続ける(無言症、昏迷)。
逆に 無目的で過度な運動活動性(緊張病性興奮)など。

 

♦陰性症状

情動表出の減少(顔の感情表出、視線を合わせる、発語の抑揚など)
意欲欠如(自発的な目的行動が減少)。
無論理、快感消失、非社交性。

不安症群

♦分離不安症

愛着を持っている人物からの分離に関する、発達的に不適切で過剰な恐怖または不安。
⑴分離が予期される、経験されるときの過剰な苦痛
⑵愛着対象を失う、危害が及ぶという過剰な心配
⑶分離の原因となる運の悪い出来事を経験するという心配
⑷分離不安から他の場所に行くことへの抵抗
⑸一人でいることへの恐怖抵抗
⑹一人で就寝への抵抗拒否
⑺分離の悪夢
⑻分離予想した時の身体症状

 

♦選択制緘黙

社会的状況で他者と接するとき、他者に話しかけられても話し始めたり相互に応答したりしない。
家庭では話せても、仲の良い友達、祖父母、いとこのような親族の前でさえ話さないなど。
社交不安によって症状はより著しくなる。

 

♦限局性恐怖症

特定の対象または状況への顕著な恐怖と不安(飛行、高所、動物、注射、血など)。
それに対する回避行動や忍耐。
持続的に症状が続く(典型的には6か月以上)。

 

♦社交不安症

他者の注視を浴びる可能性のある一つ以上の社交場面に対する著しい恐怖または不安。
その症状を他者に気づかれることに対して否定的な評価を受けることになると恐れる。

 

♦パニック症

繰り返される予期しないパニック発作。
動悸、心悸亢進、発汗、身震い、息切れ、窒息、胸痛、嘔気、めまい感、寒気、
恐怖感など。

抑うつ障害群

重篤気分調節症、うつ病、持続性気分抑うつ障害、月経前気分不快障害など。

 

♦重篤気分調節症

6歳以上10歳以前の小児においてみられる頻発するかんしゃく発作が1年以上持続した状態。
慢性で激しい、間歇期にもみられる易怒的気分が特徴。

 

♦うつ病

2週間以上続く 抑うつ気分または興味・喜びの喪失があり、食欲低下、不眠または過眠、精神運動焦燥または制止、
疲労感、気力の減退、無価値観、思考力・集中力の減退、希死念慮など。
一つのエピソードの回復に数か月から年単位かかること、有病率、再発率の高さなど考えると、決して甘く見てはいけない疾患。

 

♦月経前気分不快障害

月経開始前最終週に症状出現、開始数日以内に軽快し始め、終了後の週に最小限~消失。
⑴感情不安定
⑵いらだたしさ、怒り、対人関係摩擦。
⑶抑うつ気分、絶望感、自己批判。
⑷不安、緊張、高ぶり、苛立ち。
⑸興味の減退
⑹集中困難
⑺倦怠感、易疲労性
⑻食欲著しい変化
⑼過眠または不眠
⑽制御不能感覚
⑾乳房圧痛腫脹、関節痛、筋肉痛